11.3憲法のつどい ひろしま2018で、別姓訴訟について特別発言をさせていただいた。
原告になった、って、「なりました」だけで、何の専門的知識も学問的背景もないので、どれだけのことが喋れるんだろうかと自信が無かったし、7月の初回期日での意見陳述並みの緊張でした。でも、この半年、別姓訴訟応援団兼、原告という立場になった中で、「原告にはならなかったけれど、選択別姓を望んでいる、こんなに困っている」という多くの声が届いてきていて、そんなみんなの一人として発言したいと思っているので、がんばりました!
以下は、集会での発言要旨です。
憲法のつどい ひろしま2018 特別発言
日本では今、法律婚をするとき、夫婦のうち片方はもれなくそれまでの名字を無くすしかありません。同姓になることが強制されている制度です。同姓強制、おかしいこと、へんなことはいろいろあります。へんなのリスト作ってみました。
へんなのリスト その1、結婚しても名前を変えたくない場合、通称使用と事実婚、どちらかの方法で旧姓を使うことは一応、できます。でもどちらも結構不便で、困ることもあります。
通称使用の場合はなまえを二つ持つので煩雑です。ある人は通称名と戸籍名二つの名字のはんこをいつも持っている、といっていました。私は以前通称を使っていたとき、こっちでは通称、あそこでは戸籍名、・・・はて、ここでは私はどっちの名前だったっけ?ということになったりしました。まるで、怪しい人、です。海外では犯罪者扱いだそうです(; ;)。
一方、事実婚だと、結婚が証明されないので、相続や税金の控除で不利だし、各種民間サービス、クレジットカードで夫婦割引・家族カードなどの恩恵を受けることができません。お金に直結して損した感じです。また、配偶者ビザがとれないので、仕事でビザを取得して海外赴任するパートナーに、同伴できないということもあります。
通称が使えるから不便は一定程度解消されている、といっても、通称は戸籍名ではないし、事実婚は法律婚とは違います。 その違いって、結構大きくて、別姓を使ってことに対するペナルティみたいな感じがします。
へんなのリスト その2、同姓が強制される理由が分かりません。
理由1,別姓だと夫婦の絆が失われるから。・・・名前が絆だと思う人には絆かもしれませんが、同姓を二人の絆と思わない夫婦にはけんかの種です。
理由2,こどもが可哀想だから・・・家族で名字が違っても、うちの中で名字は関係ないですね。そして、もし別姓夫婦のこどもが家族で名字が違うといっていじめられたりするとしたら、それは同姓しか認めない制度だからおかしいといわれるのであって、同姓でも別姓でもどっちでもご自由で一つの家族にいろんな姓の人がいても問題ないよ、という制度なら別姓が特別視されることはなくなります。同姓強制を改めるのが先ですよね。親が別姓だとこどもがいじめられる、って順序が逆ですよ。
理由3,日本の伝統だからともいいますね・・・でも150年ほどの同姓強制民法です。伝統っていっても。その前には庶民はそもそも名字なんか持ってなかった訳ですし・・・。
など、理由が訳分からない。
へんなのリスト その3、通称使用はいいけれど、法律婚別姓はだめ、ってどうなんでしょう。国は女性の活躍のためにと通称使用はすすめています。通称使用による夫婦別姓のカップル誕生は国もだめだとはいっていなくて、夫婦別姓自を否定しているわけではないと理解します。一方、通称なのか事実婚なのかは戸籍を見ないと分かりません。そこら辺にいる夫婦別姓のご夫婦、通称使用です、とか事実婚です、とかみて分かりますか?婚姻届け出してますか、って聞かなきゃどちらか分かりません。通称使用で別姓の夫婦には家族が崩壊するとかは言わずに存在を認めてて、別姓で婚姻届を出したいっていったら、家族が崩壊するとかいって扉を閉ざしてしまうんですよ。
へんなのリスト その4、夫婦のどちらかが改姓している訳ですがその多くは女性です。婚姻届を出す夫婦の96%は妻が改姓しています。男女の偏りが非常に大きい。法律では「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と民法750条に書いてあって、妻が改姓すると決まっているわけではありません。
結婚を目前にして、名前を変えたくない、と言い出した新婦が親や親戚から「わがままだ」とか「とんでもない」とか言われて集中攻撃を受ける。妻は夫に従うもんだとか、夫の名前に変えるのが当然だとか、自分の親からも言われたあげく、改姓することを説得される。私が結婚した40年近く前だったらしょうがなかったかなあと思いますが、なんと今でも普通にあるというのです。夫が嫌な改姓、妻も嫌だというのはわがままですか?
最高裁の2015年の判決では、「法律自体に男女間の形式的な不平等が存在するのでない」からいいんだ、というようにいっていますが、妻が改姓するが普通とかいう力が働いて仕方なく改姓する女性たちを含めて96%の妻が改姓している、という数字。憲法が守っている人権、個人としての尊厳、両性の本質的平等。権力構造の中で平等が得られていないことにも配慮がいるのではないでしょうか。
へんなのリスト その5、離婚するときには結婚改姓していた人は改姓したままでいるか、もとの名前に戻るか選べます。離婚時の改姓をしたくないということを争った裁判では「離婚改姓は本人の不利益をもたらす」と1964年広島高裁で言っているのです。広島高裁すごい!ですね。「結婚改姓は本人に不利益をもたらす」って、今回の訴訟では、是非広島で言ってもらいたいです。
へんなのリスト その6 外国人との結婚の場合は相手の姓に変えるか、変えないでそのままの姓を使うか選べます。外国人との結婚はすでに選択的夫婦別姓なのです。私は、日本人と結婚して「しまった!」と思いましたが、後の祭りでした。残念ですが、今更婚活のやり直しはできません。
ね?この同姓強制っていうシステムのおかしさに同感されませんか?
やっぱり同姓強制はおかしい、不便だと、納得できない私たちは今年5月に第2次別姓訴訟を提訴しました。東京・立川・広島3か所の地方裁判所で私を含む8名の事実婚の男女が、原告になって7月から公判が始まっています。裁判を皆さんに知ってもらいたいので、別姓ロゴを作ったり、このロゴを持って写真を撮ってTwitterにアップする別姓チャレンジということをしたり、原告、弁護団、支える会や広島の応援団、みんなでいろいろやっています。
昨年の秋から今年の夏にかけて他にも3種類、違った観点から別姓訴訟が起こされています。いくつもの裁判が同時進行していることで注目度もアップしているように思います。 いろんな切り口で同姓強制に異議をとなえ選択的夫婦別姓が可能になることを求めていきたいと思っています。
社会の変化と共に家族も多様に変わっていっています。同姓強制から、同姓か別姓か選択可能への変更はそのほんのマイナーなバージョンアップのひとつだと思っています。いろんな形の家族が普通に存在できて、尊重し合える社会へ、制度に家族の形を合わせるよりも、いろんな当事者の幸せの形を支える制度になっていけるような、変化の風を起こせたら、と思います。
この、別姓訴訟に、ご注目ください。
広島地裁での次回期日は今月、11日20日16時です。
ご支援よろしくお願いいたします。