通称名併記の犯罪報道で考えたいくつかのこと

Pocket

性犯罪の容疑で逮捕された俳優の報道で、「俳優〇〇、△△籍、本名□□」と通称名と本名とが併記されていた。このニュース、いろんなことを考えさせてくれた。

**************************************

☆夫婦別姓の通称使用でも同様な報道になるんだろうか

☆併記報道は在日外国人への差別感情、排外主義を刺激することになりませんか

☆別姓の場合、事実婚は内縁ともいうけれど、内縁っていけませんか

☆で、私の思いがどこに行き着くかというと・・・別姓訴訟で別姓での法律婚を求めるのは非法律婚排除とは違うと思うということ

**************************************

☆夫婦別姓の通称使用でも同様な報道になるんだろうか

最初、私は自分が通称を使っていたときのことを思い出した。

一時期私は婚姻届を出して夫の姓に改姓して旧姓を通称使用していたが、その時「私の公的な名前は夫の姓で、自分自身の名前だと思っている通称名にはなんの法的な根拠もない。もし事故で私が亡くなってニュースになったとして出るのは戸籍名だから、通称で付き合っている友達は私の事故のことを知ることはないんだ(被害者になることしか考えていない私)。」と、通称名の限界を強く感じていた。通称が使えるかどうかは相手が通称でいいというかどうかにかかっていて、正式な名前は戸籍名だという相手や本人確認の書類を必要とする場面で通称名は役に立たない。

なので記事を読んで、容疑者の日本名の通名〇〇だけが彼の正式な名前として報道されていればよかったのに(犯罪報道にいいも悪いもないけれど)やっぱり通称名は正式ではないんだよねと思うと同時に、もし、どこでも通称、通名で通せて通称名を正式な名前として取り扱ってくれるのだったら、あのときの私の旧姓喪失感は少し癒やされていたのかなあ・・・とちょっと思った。

そこでニュースの現場では通称名と戸籍名どのように取り扱っているのか問い合わせをしてみた。何社かの記者さんからお答えをいただいた。

「警察発表は基本的に本名で発表されますので、一般に本名より知られている通称名があれば、一緒に報道されることになると思います。」や「夫婦別姓にかかわる通称の扱いについては、とくだんのとりきめはないようで・・」「外国籍や別姓が動機に関係があるとみなされれば本名のみや併記もありうる」、と各社ともケースバイケースで決まったルールはないというお答えだった。

そうか、通称名、本名、戸籍名、ニュースの中で各社でその時々の判断で使い分けられている、と。だったら・・・

☆併記報道は在日外国人への差別感情、排外主義を刺激することになりませんか

「外国籍や別姓が動機に関係があるとみなされるとき併記がある」と。では今回の日本名の俳優が犯罪容疑で逮捕されたニュースに外国名の本名を示す意味はどこにあったんだろうという疑問が頭に浮かぶ。性犯罪が外国籍に関係したものだったのか・・は疑問だ。私みたいにその人が外国籍だかどうか知らなかった人にも△△籍と外国人であることを知らしめることにもなった。それに意味はあるのかどうか。

特に犯罪報道でことさらに外国籍に触れるのは在日外国人への差別感情、排外主義につながりはしないかしらと思う。報道のあと外国籍に関した非難の声がSNSにあがったと聞くと心穏やかにはいられない。他の日本籍容疑者の性犯罪に「日本国籍〇〇が」とか、いわないでしょ?そういえば医療事故の報道で事故を起こした医師が女性だったときに「女医が」とつけることが多いのも、ことさらに女性医師が強調されて気持ちの悪い思いがするものだけれど、そうした民族や女性など少数派や差別が絡む属性を持った集団を必要性は低いのにわざわざ記載することの暴力性ってあるように思うよ。

で、差別感情ということで言えば・・・

☆別姓の場合、事実婚は内縁ともいうけれど。

新聞紙面で時々「内縁の妻〇〇」という表現を見る。

今は私は「事実婚別姓です。」と自己紹介する。自分達のことを内縁とは表現しない。

ことばの定義からすると内縁に重婚的内縁の他、届け出の遅れや本人の意志による届け出拒否が含まれるということなので、事実婚も内縁と言っちゃ言えるが内縁を使わないのはなぜだろう。

外国籍や女医に「わざわざいわなくても」と思うのと同様に内縁も、もしかして「わざわざいわなくてもいいのに」に分類される属性?つまり差別が絡む用語ともいえるから。

で「事実婚です」というとき私、言語化するわけではなくても(いわゆる内縁とはちゃいます)とことばの陰にチラ見せしていたのかもしれない。・・・そうなのか、人のこと、あんまりいえないよな。自分でも(内縁とは違う)と内縁関係に見下し感を持っていた、ように思う。

☆で、私の思いがどこに行き着いたかというと・・・別姓訴訟で別姓での法律婚を求めるのは非法律婚排除とは違うと思うということ

同姓でも別姓でも、それに同性でも別性でも平等に法律婚できることを求めること(同性婚の法制化を求める裁判がもうすぐ起こされる)は、法律婚と非法律婚とを差別化することとは違うと思う。別姓訴訟で選択的夫婦別姓を求めていることは、「事実婚や内縁は二級の存在で一級に格上げされたいので別姓で法律婚ができるようになりたい」と言っているのではない。

法律婚という権利が同姓でないとか同性であるとかいう理由で得ることができないのはおかしいんとちゃいますか。というのが私の思い。年齢や重婚でないという条件をクリアしたわたしたちがそれ以外の理由によって法律婚から排除されるのはおかしい。そこんところをいいたいわけで、私の権利を求めることが、ほかの人の存在をマイナス評価することにつながるのとは違うことを意識しながら裁判に関わっていきたいなあ、と。

いろんなことを考えさせてくれた通称名本名併記報道だった。

ついでに言えば、逮捕報道は「推定無罪」という意味から、〇〇さんが即有罪、と言うことでもないんですよね。加害者とされる人の肩を持つわけではないけれど。