2021年3月21日、第13回の個個個からカフェ報告です。
講師は、寺原真希子弁護士(日本・NY州)。第二次選択的夫婦別姓訴訟弁護団、および「結婚の自由をすべての人に」訴訟の弁護団をされています。
コロナウイルスの影響で今回は、先生はwebでの参加で、会場とwebでのハイブリッド開催でした。
まず、先日3/17、北海道での同性婚訴訟の判決がありましたが、寺原さんは原告の弁護団をされており、わかりやすく解説がありました。
海外では29の国・地域で同性婚が認められている。アジアでも、台湾で2019年に同性婚が実現。G7の中で同性カップルの関係性を法的に保障していないのは日本だけ。地方自治体によるパートナーシップ制度では全く代替不可能な状況。
原告側の主張としては、
①憲法24条1項には、
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、とあるが、「のみ」がかかっているのは、「両性のみ」の合意ではなく両性の「合意のみ」。
戸主(家長)の同意がなければ結婚できないという家制度から脱却し、当事者の「合意のみ」で結婚するかどうかを決められることを保障したものである。
→同性婚の憲法改正は不要。法律改正で足りる。
②憲法24条1項では、すべての人に「婚姻の自由」を保障、また、憲法14条では、「法の下の平等」を保障している。異性カップルと同性カップルで取り扱いが異なるのは不合理な差別であり、同性婚を認めていないことこそ憲法違反。
一方、被告(国)の主張①は、
・婚姻関係は伝統的に生殖と結びついて理解され、男女間のものと考えられてきた。
・婚姻制度の目的は、夫婦がその間に生まれた子を育てながら共同生活を送るという関係に対して法的保護を与えることにある
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しかし、生殖はこれまでも婚姻の要件とはなっておらず、婚姻=生殖ではない。
被告(国)の主張②は、
・同性愛者であっても、異性との結婚はできるのであって、同性愛者であるが故に婚姻ができないわけではない。
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しかし、原告らが求めているのは、自分が愛する人との婚姻。
被告(国)の主張③は、
・婚姻によらずに一人の相手を人生のパートナーとして継続的な関係を結ぶことは可能だから、同性愛者の尊厳を傷つけているとは言えない
⇓
婚姻にはさまざまな法律上・事実上の権利権益が結びついているほか、社会的承認という効果もある。婚姻は認められていないこと自体が負のメッセージとして差別・偏見を助長している。
選択的夫婦別姓訴訟との共通点は、
1. 法的構成(憲法14条違反+憲法24条違反)
2. 人格の根幹にかかわる事例
3. 多数決の民主政の過程では解決されにくい選択肢を増やすだけ
4. 代替手段なし(通称/パートナーシップ制度)
また、選択的夫婦別姓訴訟との相違点は、
1.法律の文言上「協議による」とされていること
2.国内外での議論の長さ
では、今後の取り組みとしては、「可視化」していくことが需要。例えば、
・レインボーキャンペーン
全国各地にいるセクシャルマイノリティの可視化
・marriage for all JAPAN 結婚の自由をすべての人に(マリフォー)の活動
国会への働きかけ
・Business for Marriage Equality(ビジマリ) 企業による婚姻平等賛同を可視化するキャンペーン
・レインボー国勢調査プロジェクト 同性カップルをカウントするよう働きかける。
選択的夫婦部別姓と同性婚とは共有する問題点もたくさんあるのですが、今の夫婦同姓制度は、協議によって同姓にしている点で、同性婚訴訟より難しい点があるとのことでした。
一番印象に残ったのは、婚姻=生殖ではない、という点です。結婚したい、という気持ちが一番大切だと思います。
今後の取り組む方法として、やはり「可視化」が大切、ということで、私達も発信していかなくては、と思います。
(丹羽和子)