第10回個個からカフェ 報告 

Pocket

2020年6月28日

場所 ひろしま ハチドリ舎

私が民族名を名乗る理由

~「通称名」と「本名」の間で生きる、ある在日朝鮮人の生き方~

  お話し 権 鉉基(こん ひょんぎ)さん

●お話を聞いて

「日本にいつ来られたんですか。日本語お上手ですね。」と権さんに声をかけた日本人 私であったかも…

 日韓併合も創氏改名も近代の歴史を学ぶ中で、一応事柄として知っているだけで きちんと教えられていない。さらに他のアジアの国が外国からさまざまに侵略を受けたのに対し日本は敗戦下でもその難を逃れ、その苦難を想像する力もない。教育の責任は大きいし、それが故意だった可能性も大きい。でもだからといって自ら知ろうと思えばできたはず、一番問題なのは、他者を分かろうとしない排他的な閉鎖的なものの見方考え方かもしれない。権さんの言われるようにもっとコミュニケーションをとらなければわかりあえない。

 権さん自身が、朝鮮人であることを知られることを恐れて生きる同世代の友人たちと知り合い、自らのルーツや朝鮮の歴史を学んだことで、自分と向き合い、生き方を模索し、その結果 民族名を名乗る生き方を選ばれたことは、とても共感できた。

私たちが今訴えている選択的夫婦別姓も同じ。自分が生まれてからずっと使ってきた名前を結婚してもそのまま使って生きていきたいと思うのは、人間としてとても自然なことだと思う。だから、現在その選択の自由は世界の常識となっているのだ。わがままなどではない、自分らしく生きられる生き方を選ばせてほしいだけなのである。(二木)               

●参加者アンケートより

・最高でした!(KICK)

・知らないことばかりで、名前についても歴史を知らないといけないということを思いました。教育の力のすばらしさ、およびこわさ(皇国臣民)を思いました。

・貴重なお話しありがとうございました。私個人的に韓国文化が大好きで、私の友人も在日の方がいます。どこまで通名が通るのか興味があります。

●お話し 権 鉉基(こん ひょんぎ)さん

〇はじめに

現在 朝鮮学校の「無償化裁判を支援する会」の事務局長として、第1次別姓訴訟開始からと同様7年ほどたたかっている。なぜ無償化できないのか、ちゃんとした答えはもらえない。10月16日判決予定。

個個からカフェも 不安なく違っていられる社会への一歩ということで、私も朝鮮人らしく生きられる社会を目指して活動している。          

戦後川沿いにあったバラックの行政による立ち退きにおける朝鮮人についてなども調べている。

音楽が好きで基町ショッピングセンターの一角でDJとしても活動している

〇自己紹介

 「広島生まれで、総連系で、特別永住者で

         朝鮮学校を卒業した 朝鮮籍の 在日朝鮮人3世です。」

これだけのことは言わなければ自分のことを規定できない。

・特別永住者は旧植民地出身者の子孫に与えられた在留資格を持っている人。          持っていない人の多くは1980年代以来渡日したニューカマーと言われる人。                       

・朝鮮学校に行った人は全体の2割くらい。

・韓国籍は1965年にでき、それ以前に日本にいたら朝鮮籍、帰化して日本籍の人もいる。  

〇日韓をめぐる歴史

・日韓併合1910  

 国籍で包摂し 戸籍では排除 

・朝鮮戸籍令1923

   日本人と区別、転籍できない

  朝鮮半島の家族制度    

   姓不変   結婚しても姓は変わらない

          同姓不婚  同じ本貫(地域)の人とは結婚できない

          異姓不養  姓が違う者を養子にできない

・創氏改名1939  男性血統で決める 創氏の強制  姓は140くらいしかない

            「どこどこの権さん」で だいたい特定できる      

   皇国臣民化の結果としての創氏改名。ねらいは朝鮮本来の家族制度の破壊、分断統治

・「内鮮一体随想録」1941  香山光郎(朝鮮名 李光洙)

    朝鮮人の国民的地位を上げるには、天皇のために陛下の臣民になることだ

・植民地支配からの解放 1945 8.15 

   240万人いた朝鮮人の140万人が帰国、70~80万人が日本に残った。

・「外国人登録令」1947 5.2大日本帝国憲法下で公布された最後(5.3日本国憲法施行)の勅令   

国籍は日本 戸籍は外国にある

日本名でも朝鮮名を併用して生活 外国人とみなし保護しなくてよいとした。【あくどい!】

   戦後も根強く残った朝鮮人蔑視 日本人名を名乗らざるをえない人も

 在日2世のアイデンティティの模索 祖国指向、定住指向

・朝鮮半島分裂1948

  外国人として生きていくのか 困難と苦悩                      通名(日本名)で自分を守らざるをえない 日立就職差別事件、金喜老事件

・1980年代 国際化の時代 1982政府 難民法を受け入れ、公営住宅の国籍撤廃など

・1990年代 もう1度バッククラッシュ 核疑惑 パチンコ疑惑、チマチョゴリ切り裂き事件など 

〇権さんのストーリー

1940年代初め 祖父が植民地支配の朝鮮半島から広島の大朝に渡日 父母とも朝鮮学校に行った。権さん本人も幼稚園年少から高校まで朝鮮学校に通い、同級生23人 親類も多く繋がりも強かった 民族名を名乗るのも疑問をもたなかった 思春期の中 商店での会員カードを作った時に日本名を使ったこともあった。

高校の時 日本の学校に通う学生会の朝鮮人との出会いで、彼・彼女が本名を知られるのを恐れて日本名を使っているのを知り、「自分は何者」と考えるようになった。

高校卒業後、大阪に出てより主体的に朝鮮半島の歴史を知り、歴史として綿々と続いている中に家族がいて自分がいると思うようになった。それ以降、日本名を名乗ることはなくなった。

    1970-80年代頃 日本の学校で本名宣言の取り組みがあった

帰広後、朝鮮総連(在日本朝鮮人総聯合会)職員としての生活

 コミュニティとしての重要性・安心感と閉鎖性,在日同士での結婚など

     2019 退職   パートナーが日本人であったため   【理不尽ではあるが】

◎私が民族名を名乗る理由

・アイデンティティを失わないため

・自らの歴史性

・ルーツを大事にしてきた家族への思い

・同化を強いる社会への抵抗

「日本にいつ来られたんですか 日本語お上手ですね」に【うーん そろそろわかってほしい。】と思う。 

〇質問に答えて

 ・個人証明となる免許証では、まず民族名、希望する人は日本名も( )で併記される 母親は父親と同じ通称名を使っている。結婚する場合 国民登録されていない韓国籍と朝鮮籍の人は、現在結婚をしていない状況を自分で申述書に書いて提出し届ける。在日朝鮮人の男性と日本人女性が結婚すると、新しく日本人女性が戸主の戸籍が作られる。子どもは日本国籍となるが22歳で自分でどちらの国籍にするか選択できる。 

・帰化する場合 1970年代は日本人らしい名前にと窓口指導があった 孫正義のように最近は敢えてらしくない名前を付ける人もいる。申請は提出書類が多く 1回で認可されることは難しい。

・本名宣言は 成功事例もあれば失敗事例もある。本名を名乗らせることを目的としないで、それで何を変えるのかが大切、フォローがいると思う。

 ・本名・民族名、日本名・通名、どれが正解ということは難しい。本人の意識によるのではないかと思うが

   民族名 日本名というほうがより分かりやすいのではないか

 ・全体的には差別的な雰囲気は残っている。それを可視化することは問題ないと思う。根本的にあまり気を使わなくてもよいのではと思う、コミュニケーションをとらないことでお互い分かりあえない方が問題

 ・帰化はなるべくしてほしくないが、その人の帰化という選択も認めたいし受け入れたい。2000年代に入って(拉致問題発覚後)帰化は年間1万人を超えたが、この1,2年は少しずつ減っている        ・2008年 韓国は戸籍制度がなくなったが、まだまだ家父長制度の国である。戸籍という制度自体の問題点を問うていかなければいけないと思う。同じころ日本で特別永住者にも住民票をということで永住者カードができた。(今政府が100億円くらいかけて旧姓併記のシステムを作るということに対して)そのときすでに民族名・通名併記の住民票のシステムはできていると思う

第2次別姓訴訟@広島 高裁「国会に真摯な議論を求める」

Pocket

第2次別姓訴訟@広島です。

控訴棄却でした。
せっかく準備した勝訴の時の3枚のビローン「憲法違反」「条約違反」「選択的夫婦別姓実現へ」、使えずで残念でした。後で、応援団のみんなが、「判決は憲法違反」ってことじゃないん?などと言ってくれたのですが(^_^;
地裁に続いて今回も控訴棄却。けれども最後に「ただし・・・」と続けて、通称使用に限界があること、女子差別撤廃委員会が度々勧告をしていることについてかなりの分量を割き言及した上で、これらを重く受け止め、「国会には制度の導入を切実に求めている人々の声にも謙虚に耳を傾け、真摯な議論を行うことが期待されているものと考える。」と述べた判決でした。そこに裁判官のメッセージが込められていたと受け止めます。
全国で採択されている意見書のことも判決文に書かれています。裁判所にも全国から上がる声が届いています。
通称使用では困ること、もきっちり聞き取ってくれました。それでなんで棄却やねん (♯`∧´) (♯`∧´)、なのですが。

2015年の最高裁判決を、「同姓強制合憲」とだけ解釈して何の動きもしようとしなかった国会ですが、そこにも国会での議論を、と書かれていました。合憲、にがっくりして国会での議論を、の部分を無視したい人たちの流れに乗せられてしまったのではないでしょうか。今回の広島高裁判決の「国会には真摯な議論が期待されている」というメッセージはしっかり国会に届けていきたいと思います。
陳情アクションさんの活動や、国会でのロビー活動をしてくださってるみなさん、論壇・メディアからの多くの論評、声。そんなにまで声があってもまだ微動だにしない日本社会を情けなく思いつつ・・・大きな山でもいつかは動くと信じます。もう少し。
10月20日の東京(本庁)高裁、23日の東京(立川)高裁の判決も期待しています。
ここまで@広島を応援してくださってありがとうございました。広島での裁判はあと、家裁への婚姻届受理申立が高裁からのお返事を待っています。そして国賠訴訟@広島からは最高裁を目指します。どうぞ、ご一緒に。
まだ、もうしばらく、伴走のほどどうぞよろしくお願いいたします。

第2次別姓訴訟@広島 原告 恩地いづみ

判決後新聞紙上、テレビやweb上のメディアやブログで掲載がありました。

期日後 メディア記事 一覧

●中国新聞 紙面 2020/9/17

別姓禁止「合憲」を支持 広島高裁控訴棄却 国会に注文も

●朝日新聞 紙面 2020/9/17

夫婦別姓訴訟「旧姓通称使用に限界」 弁護団、高裁の指摘評価

●毎日新聞 web

夫婦別姓訴訟、原告の控訴棄却 広島高裁が合憲判断の1審判決支持 毎日新聞2020年9月16日

●広島homeTV

夫婦別姓訴訟 控訴棄却 広島高裁 2020.09.16 19:05

●中国新聞 web

夫婦別姓禁止、二審も「合憲」 広島高裁、原告の控訴棄却 2020/9/16

●新聞赤旗 web

訴え棄却「国会議論期待」選択的夫婦別姓判決 原告上告へ 広島高裁

●弁護士ドットコムニュース web 2020年9月16日 17時19分

第二次夫婦別姓訴訟、広島高裁も請求棄却…「国会は謙虚に耳を傾け、真摯な議論を」と言及

●ブログ 新・ヒロシマの心を世界に

「第2次別姓訴訟広島高裁判決言い渡し」傍聴記 2020年9月17日 (木)

●RCC中国放送

広島市の女性が提訴 夫婦別姓訴訟 広島高裁も棄却 9/16(水) 18:37

第2次別姓訴訟@広島高裁 控訴理由要旨 「わたしたちはこの訴訟に必ず勝ちます」

Pocket



第2次別姓訴訟 高裁で弁護団から陳述された、控訴理由の要旨です。ボリュームありますが、大部の控訴理由書を、弁護団の皆さんが渾身の要約にし、締めの言葉を書いてくださいました。わたしたち原告団、弁護団の思いが満杯です。法廷に思いをはせてお読みください。

 

控訴理由の要旨

2020(令和2)年6月8日

 

別姓訴訟弁護団

1 夫婦同氏が婚姻の成立要件であること

戸籍法74条1号によって「夫婦が称する氏」は婚姻届の必要的記載事項とされています。「夫婦が称する氏」を定めない場合,婚姻届は受理されず,法律婚は成立しません。控訴人も,夫婦別氏を希望する旨を記載して婚姻届を提出しましたが,実際,受理されませんでした。このことから,夫婦同氏が婚姻の成立要件であることは明らかです。

原審は,この点について,判断を回避しています。しかし,被控訴人国ですら,甲第150号証で提出した別訴準備書面において,「夫婦が称する氏」を定めることが婚姻の成立要件であることを繰り返し述べ,そのことを認めています。

夫婦同氏は,明らかに婚姻の成立要件です。裁判所におかれては,このことを念頭に,正面から憲法判断をして下さい。

2 本件各規定が憲法14条1項に違反するものであること

原判決は,本件各規定が,信条ないし信念に着目して法律内容を区別しているものではないことを理由に憲法14条1項に違反しないとしました。しかし,これは詭弁です。

確かに,法文上は「信条」「信念」を基準とする文言にはなっていません。しかし,法律の構造上,夫婦別氏での婚姻を希望する信条・信念を有するカップルは,「夫婦が称する氏」を選択できず,法律婚ができない仕組みになっています。これは信条・信念を基準とする差別的取扱いそのものです。法文上,「信条」・「信念」を基準とすると定め方をしていなくても,そのことは,本質的には無意味です。

また,原判決は,本件各規定が,信条・信念にかかわらず一律適用されることも挙げます。しかし,法律は,不特定多数の人に対して適用されることが,その性質上当然に予定されています。一律適用されることは,いわば,法律として,あたりまえです。差的取扱いを否定する理由にはなりません。

憲法14条1項は,法適用の平等のみを意味するのではなく,法内容そのものも平等であることを意味します。本件各規定によって生じる差別的取扱いは,明らかに平等原則に反しています。

原判決の判断内容は,憲法判断を避けた詭弁であり,実質的判断を回避したに等しいです。

3 本件各規定が憲法24条に違反するものであること

⑴ はじめに

原判決は,憲法判断において,平成27年最大判を踏襲しました。しかし,平成27年最大判以降,選択肢なき夫婦同氏制を取り巻く状況は,甚だしく事情が変動しています。

⑵ 事情の変更

まず,平成27最大判以降の事情の変更について述べます。

ア 第一は,女性差別撤廃委員会の勧告と相次ぐ提訴です。

国連の女性差別撤廃委員会は,平成27年最大判後にとうとう3度目の改正勧告を行いました。それでも国会は動かないので,国内では,立法不作為の違法を訴える訴訟提起が相次ぎました。

イ 第二は,社会の変化です。

女性の就業率の増加(甲105,甲127),共働き世帯の増加と専業主婦世帯の減少(甲106)の傾向は顕著です。

女性の有業率の曲線が,いわゆるM字型カーブからなだらかな台形に変化していることも,女性の有業率の上昇,晩婚化,出産年齢の高齢化,結婚・出産を経ても就業を続ける女性の割合の増加という社会の変化を明らかにしています(甲105,甲128)。

女性の晩婚化と有業率の上昇に伴い,職場での旧姓使用のニーズが高まり,旧姓使用ができる場面が広がっています。一例として,裁判所や検察庁における旧姓使用者の数も増加の一途を辿っています(甲132,甲133)。

ウ 第三は,国民の意識の変化です。

2018(平30)年に国立社会保障・人口問題研究所で,結婚経験のある女性に対して実施された調査では,「別姓であってもよい」への賛成割合が半数を超え,特に30代では6割を超えました(甲107)。

また,2020(令2)年1月の全国世論調査では,選択的夫婦別姓について賛成が69%で,反対24%を大きく上回り,特に,50代以下の女性の8割以上は賛成でした(甲122)。

なお,同調査は,内閣府の世論調査と異なり,「通称使用」の選択肢がないことから,賛否の割合がより明確に把握できるものとなっています。

その他にも,選択的夫婦別姓の賛否について多くの調査が行われており,いずれも賛成が多数となっています。特に,2020(令2)年3月から4月にかけて行われた朝日新聞と東京大学の共同研究調査によれば,自民党支持層でも選択的夫婦別姓導入への賛成が半数を超えており,他方で,2019(令元)年の参院選の際に行った候補者を対象にした調査では,自民党の候補者の賛成派は19%にとどまっていることから,自民党候補者の意識と有権者との意識との間に大きなずれが生じていることが分かります(甲152)。市民の意識が国会に反映されない現状では,選択的夫婦別姓の導入には司法救済を求めざるを得ないのです。

エ 第四は,地方議会における意見書採択です。

動かない国会に業を煮やし,地方議会においては,「(国に対して)選択的夫婦別氏制の導入を求める意見書」が採択され続けており,平成27年最大判後,現在までの合計数は94自治体に及んでいます(甲108の1~甲108の24,甲121の1~2,142の1~22,149,151の1~4)。

⑶ 通称使用(旧氏併記)の拡大では夫婦同氏制の不利益が解消されないこと

次に通称使用(旧氏併記)の拡大では,夫婦同氏制の不利益が解消されないことを述べます。

2019(令元)年11月5日,住民票,マイナンバー等に旧氏を併記できるようにするための政令が施行されましたが,実効性がなく,混乱が広がっているばかりです。

例えば,健康保険証は旧姓使用ができませんし,不動産登記には旧姓併記されないため,住宅ローン契約等を旧姓のみで締結することはできません(甲111の3)。銀行口座,クレジットカード,携帯電話を旧姓のみで作成できるかは,各会社によって異なります(甲111の1,111の2,112の3,111の5,111の6)。納税及び税金還付の多くの場面では,仕事上旧姓を使用していたとしても,戸籍名を求められます(甲111の4)。パスポートには旧姓併記が認められていますが,チップには旧姓登録されないため,出入国管理等の場面において混乱が生じます(甲67の2)。弁護士は旧姓を職務上の氏名としていても,戸籍上の氏名での登録しか認められない場合があり,煩雑な対応を余儀なくされています(甲111の7)。

また,旧姓の通称使用や旧姓併記制度は,旧姓を名乗り続けたいにもかかわらず婚姻により改姓した者のアイデンティティの喪失感を何ら解決するものではありません。通称使用の範囲が限定的であること,管理の煩雑さ,戸籍氏の変更手続の負担を夫婦の一方のみが負う等の問題は残ります。

このように,通称使用の広がりは,夫婦同氏制の不利益を解消するものとはなりえません。

⑷ 小括

平成27年最大判に対しては,多くの批判があり,本件訴訟以外にも司法救済を求めるべく訴訟提起がなされています。御庁におかれては,現在の日本で起きている社会の変化,国民意識の変化,国際社会の動向,日本独自の通称使用(旧姓併記)制度の異様性などの事実を直視していただいた上で,平成27年最大判以降,選択肢なき夫婦同氏制の合理性が完全に失われているという事実を踏まえた適切な判断をしていただきたくお願いいたします。

4 条約違反

原判決は,女性差別撤廃条約について,国内法の整備がされなければ,権利は保障されず,要するに適用されないと判断しました。

しかしながら,条約は,国内において当然に効力を有しており,しかも,法律よりも優位に立つという解釈が,一般的です。したがって,国内法等の整備がされていないのであれば,これをする義務があるのであり,国内法がなければ条約は適用されないなどという原判決の判断は,明らかに論理が逆転しており,誤っています。そして,本件においては,日本の法令及び状況は,同条約の各規定に違反しているものと認めるのが相当です。

また,原判決は,自由権規約について,日本の法令及び状況は,同規約の各規定に違反しておらず,また,同規約の文言からは配偶者が婚姻前の姓の使用を保持する権利を保障するものとは読み取れない等と判断しました。

しかしながら,日本の法令及び状況は,同規約の各条項に違反しており,また,ウィーン条約によって定められた条約の解釈の方法を全く無視して,文言のみによって解釈するという,法令解釈ではおよそ行わない独自の解釈方法を採った原判決は,明らかに誤っています。そして,本件においては,日本の法令及び状況は,同規約に違反しているものと認めるのが相当です。

5 国家賠償

原判決は,国家賠償法上の違法性及び損害額について,判断を要しないとして,特段の論旨を示していません。

しかしながら,本件においては,国の行為は憲法に違反しており,国家賠償法上の違法性等の判断が必要となるところ,裁判所がこの点に関して従前から用いてる基準は,ア 国家賠償法1条1項の文言を無視し,国会議員の立法行為又は立法不作為については国家無答責の原則を採用した点,イ 要件を過度に加重して,憲法が定める三権分立の趣旨を完全に没却させる効果を生じさせている点において,いずれも誤っています。

よって,速やかに変更されるのが相当です。

6 終わりに

  私たちは,この訴訟に必ず勝ちます。

なぜなら,それが世界の常識だからです。

かつて,生存権が社会の常識となったように,プライバシー権が社会の常識となったように,どちらかが自分の氏を変えることなく結婚をすることができることが,やがてこの国の常識になります。

私たちの中には,法務省も含まれています。なぜなら,法務省は,既に平成8年に,選択的夫婦別姓制度を導入すべきであるとの結論に,至っているからです。

また,私たちの中には,裁判官も含まれています。なぜなら,裁判官こそが,この社会を変える力を持っており,その判断によって,あるべき社会をもたらすことを,使命としているからです。

そうして,私たちは,新しい社会をもたらします。結婚をしたいと望むすべての人が結婚することができる,誰もが幸せな社会です。

私たちは,その社会を導いた者たちとして,歴史に残ることとなるでしょう。

以 上

第2次別姓訴訟@広島高裁 初回期日で意見陳述しました

Pocket


意見陳述書

夫と私は1983年に結婚し、いったんは夫の姓を夫婦の姓として婚姻届を出し、私が改姓しました。しばらくは改姓前の名前を通称使用しつつ公的には改姓した戸籍名で生活しましたが、使い分けに苦慮し、結婚後7年でペーパー離婚し自分の名前を取り戻した経緯は地裁に提出した陳述書(甲96の2)の通りです。

通称は本名ではないし、事実婚は法律婚ではありません。結婚しようとする夫婦のどちらもが姓名を失わずいようとすると、一方が本名ではない通称を使うか、二人が法律婚をせず事実婚でいるかしか方法がないのはおかしいと思ってきました

「私の名前」、というとき、それはいつでもどこでも、何の注釈や追加の書類も必要なく名乗れる名前が、私の名前です。それは、本名、といわれるものであるはずです。

2015年の最高裁判決では、夫婦の呼称を一つに定める事には合理性があると示されていますが、一方、全ての夫婦に呼称を一つに定める事を要求し別氏にするという選択肢を設けないことの理由は、通称使用までは許さないものでないから、ということのみで積極的な理由は示されていません。今回の広島地裁の判決でも、2015年最高裁判決後も事情変更がいろいろ続いている事は認めるが、旧姓併記が認められ理解が広がることにより「氏を改める場合の不利益が拡大しているとまでは認められない。」とそのまま追随しています。

しかし、通称使用は旧姓併記ができるようになった今も、使えるかどうかは相手方次第で、限定的です。いろいろな場面で戸籍名が要求され、通称ではそれに対応できません。大臣も裁判官も通称で仕事ができるようになっていますが、通称使用を禁止する職場は多く、たとえ職場で通称が使えても生活する上で多くの窓口で戸籍姓を要求されるのです。

外務省や総務省のHPにも「かっこ内の旧姓は使えるところだけで使えます、相手が認めないこともあります」といった記述になっています。わたしの名前、どちらを使えばいいですか?どちらだったら認めてもらえますか?と、行く先々で確認がいる、それが通称です。

また、1996年すでに、通称で名乗るという方法は「個人の人格的利益を法律上保護するという夫婦別氏制の理念が後退する」と、法制審答申では採用することを退けられていた方法です。にもかかわらず、それから24年も経ったいまも通称使用をもって、改姓に伴う不利益は一定程度緩和されている、あるいは不利益が更に拡大されているとは言えないと、夫婦別氏制の理念が後退するような方法を示すことをもって法改正をしないことを擁護するとはどういうことか意味不明といわざるを得ません。

名前を失うことに関して、例えば夫婦の二人共が婚姻に際して名前を失い全く新しい姓を二人で選び二人で新しい家族に帰属するというようなものであれば、それは二人に平等であると言えるかもしれません。しかし、一方の姓を選ぶという方法では、2人の内一人は生まれ育ったなじみの名前とそれに付随した生まれ育った家族への帰属感をそのまま維持しつつ婚姻後もそのままの生活を送ることができ、一方名前を無くさなければいけないほうのもう一人は、生まれ育ったなじみ深く、社会の中で認知されてきた、それまでの人生に付随した様々な経験と共にあった名前を、生まれ育った家族への帰属感とともに剥奪され、多くの姓変更手続を行い、全く新しい名前を使わなければいけないのです。不本意な改姓を余儀なくされた方が言われた「私は婚姻届を出したいのであって、死亡届を出したいわけではない。」という言葉のように、婚姻届を出す時点で、その人の今までの人生に繋がってきた名前/姓が取り消し線で消され、姓名というそれまでの業績への検索ツールであるタグが外され社会的/研究者的な死も余儀なくされるのです。名前を保持できる夫婦の内の一人と、同姓強制によって姓を失わざるを得ないもう一方とのその圧倒的な不平等が過小評価されています。この現実を理解していただきたいと思います。

法制審の議論の時点、1995年に出された「婚姻制度等の見直し審議に関する中間報告及び報告の説明」では、「選択的夫婦別氏制を導入するべきかという問題については、導入すべきであるとする意見が大半を占め、消極的意見は極少数にとどまっている。」と書かれています。その時引用された1994年の世論調査では「希望する場合には夫婦が別姓を名乗ることができるように法律を変えた方がいい」という意見に賛成したのは27.4%でした。26年前、世論調査で賛成意見が27.4%だった時点で、導入すべきであるとする意見が大半を占めていたとする法制審議会の答申に対して、世論調査での賛成が42.5%と半数近くなった今、「導入すべき」という意見が後退していいのでしょうか。まだ、事情の変化は不十分なのでしょうか。同姓強制による改姓の可能性がより大きい結婚適齢期の女性、30代女性では54.1%、40代女性では52.1%と賛成が過半数を超えています。少子化を憂いながら結婚適齢の人たちにこのように支持されている法改正に背を向けていていいのでしょうか。法改正もせずに放置し続けて問題ないのでしょうか。

今回広島地裁判決で「原告の主張する法律婚の効果を享受することができないことの不利益(差別的取り扱い)は、法律婚の有無によって生じているのであって、原告の主張する『信条』によって生じているのではない。」とありました。ここで言われていることの意味を理解できないのは私の日本語能力のなさによるのでしょうか。

あなたが死罪にされるのは、踏み絵を踏まないからであって、あなたの信条、キリスト教を信仰すること、によって生じているのではない、というなら江戸時代日本でキリシタン弾圧はなかったことになります。

婚姻届が受理されない法律の合憲性自体を問うているのに、婚姻届が受理されないのは、法律がそう決めているからで法律は全ての日本国民に適用されるから平等だ、というのでは答えになっていません。

キリスト教でもイスラム教でも仏教でも、どのような信仰を持つことも自由である日本で、キリスト教を信仰していれば結婚はできません、などとは言われません。別姓を希望することも、同姓を希望することも同じように信念として持つことができるならば、名前を失わないことを希望すれば結婚できません、と言われるのはおかしい、と思うのです。

そして、繰り返しますが、同姓であることに一定の合理性があるというだけで、結婚にあたって別姓であることが排除されるのはおかしいと思うのです。別姓を排除するのであれば、別姓を許さず同姓のみしか認めないことの合理性が必要だと思うのです。

私の名前。いつでもどこでも、何の注釈や追加の書類も必要なく名乗れる、私の名前を、改姓を強要され奪われることなく結婚後も使い続けられるあたりまえの権利が、別氏という選択肢を設けないことによって、共に生きることを誓う対のうち一人には保証され、一人からは奪われていることを問題ないとするならその合理的な理由を示してください。

以  上

こどもの日に考えること

Pocket



これが日本だったら、「男の子はピンクのマスクをつけない方がいいよ」と言うのだろうか。

ピンクのマスクをつけたらからかわれるのじゃないかと心配する男の子に「男子か女子かに関わらず、ピンクは素敵な色」と蔡英文総統や多くの閣僚がピンクのマスクをつけるパフォーマンスで応じた台湾政府

選択的夫婦別姓への法改正は、法制審答申が出て24年も実現しないでいるが、首相も法相も後ろ向きの答弁を繰り返している。今年2月の衆院予算委員会でも「選択的夫婦別姓のどこが納得できないのか」という議員の質問に、「国民の意見は分かれており、夫婦の氏が異なることで子への悪影響が生じることを懸念する人も相当数いる」と答弁した安倍首相

確かにH29年の内閣府世論調査で「子どもにとって好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合は62.6%と過半数だった。答弁に嘘はない。

しかし現在、国際結婚をしている法律婚夫婦、選択的夫婦別姓の法制化を待って婚姻届を出さずにいる事実婚の夫婦、一方が改姓し結婚した後改姓した側が通称使用している法律婚夫婦、いろんな夫婦が別姓で生活している。「こどもにとって好ましくない影響があると思う」という人が多いのなら、その根拠を問い、誤解があるならそれを無くし、別姓が好ましくないと思われないように持っていくことで、こどもが「好ましくない影響を受ける」と思われないようにすることを目指すべきでないのだろうか。

首相が先頭に立って「好ましくない影響がある」と考える人が相当数いることを認めることで、「好ましくない」と考えること自体を容認してはいないだろうか。

大人がすべきことは、自分が差別する側に立たないことを見せることで、こどもにも差別はいけない、と態度で教えることではないだろうか。

この国では真逆だ。こどもへの影響、というよく分からない根拠のない思い込みの存在を認めることで、選択的夫婦別姓に反論しようとしている。こどもを人質にしないでほしい。現在でも法律に則った別姓もあるのに、そうした家庭のこども達は「好ましくない影響下」にいることを首相は放置するのだろうか。

わたしは、ピンクのマスクをして閣僚みんなが並んでみせてくれるような国でこどもを育てたかったと思う。

内閣府の世論調査、設問がなんか変なんですけど

Pocket



内閣府の夫婦別姓に関する世論調査、設問がなんか変なんですけど、変だ変だって言ってるの私だけ??

2020年2月4日安倍首相は衆議院予算委員会での立憲民主党の大河原雅子議員の質問への答弁(10:15 大河原雅子立憲民主党議員質問)で世論調査結果を根拠に、改めて法改正に後ろ向きな姿勢を示した。

言及された内閣府の調査、質問文が一部紛らわしくて、これが言及される度にもやもやする。

どこが紛らわしいかというと、

(ア)反対、(イ)賛成、分からない、の他「(ウ)夫婦が婚姻前の名字を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが、婚姻によって名字を改めた人が婚姻前の名字を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては、かまわない」の項目が賛否に分けがたいのだ。

首相は「夫婦は同じ名字を名乗るべき」は過半数(法改正反対29.3%とウ24.4%を合計すると53.7%)なので法改正には慎重、と言われていたが、「法律を改めることは、かまわない」をみれば66.9%になる。現在進められている旧姓併記は「どこでも使える通称」でなく、これをもっても(ウ)が法改正をせず現状維持とする根拠にはなりがたい。改正法案を選ぶ質問のようでもあり、それなら(ウ)の割合を他の答えと合計してはいけない。法改正可否を語るときこうした紛らわしい合算は根拠とはできまい。

この紛らわしい数字の使い方は首相だけではなく、以前法相も記者会見でこのような発言をしていたので、みんなで共有している世論調査解釈法なのだろう。

5年毎の調査ということなのでもし次回24年に実施されるのであれば、賛否を問うのと改正案を選ぶ質問を別立てにするなり、項目の見直しを要するのではないだろうか。

注:

内閣は、1996年から約5年ごとに「家族の法制に関する世論調査」を実施し、これまで、1996年、2001年、2006年、2012年、2017年に選択的夫婦別姓制度についての世論調査を行っています。

この調査で、選択的夫婦別氏制の導入に対する考え方を詳しく聞いているのだけれど、その(9)選択的夫婦別氏制度、のなかのQ10 が選択的夫婦別氏制度についての質問。質問の文言は、

10  現在は、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗らなければならないことになっていますが、「現行制度と同じように夫婦が同じ名字(姓)を名乗ることのほか、夫婦が希望する場合には、同じ名字(姓)ではなく、それぞれの婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めた方がよい。」という意見があります。このような意見について、あなたはどのように思いますか。次の中から1つだけお答えください。

(ア)婚姻をする以上、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要はない(29.3%)

(イ)夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない(42.5%)

(ウ)夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては、かまわない(24.4%)

(エ)わからない

(質問の後のかっこ内は回答者の割合)

上のように変なところがあるので、この選択的夫婦別姓に反対か賛成かを読むとき、以下の評価が成り立つ。

1、選択的夫婦別姓に(あ:い)   反対 29.3 賛成 42.5

2、法改正に賛成(あ:い+う)   反対 29.3 賛成 66.9

3,別姓使用に(あ:い+う)    反対 29.3 賛成 66.9

4,戸籍別姓可(あ+う:い)    反対 53.7 賛成 42.3

このようにどうにでも読めるような項目、おかしくないですか。

この私の世論調査の読み方間違っていますか。

別姓 希望 さま

Pocket


詳細なご検討ありがとうございました。私の表現が不正確だったかもと思います。ご指摘に感謝してこれからは正確な表現を心がけようと思っております。・・・ですが、毎日家族から「何をふわふわといい加減なこと言ってんの⁉」と指摘されるような人間である事は一朝一夕では変わることはなさそうで、努力目標にする程度で許してください。

別姓 希望さんのおっしゃること、認識には基本的に誤りはないと思います。

なのですが、「よって、IZUMIさんの『ニーズが多様化したから、訴訟の争点が多様化した』とは何を指すのでしょうか?」に対しては、最初に言ったのは「24年前と状況が変わっている。」で、その変わったこと「必要性の多様化」。で、「社会的状況の著しい変化を背景として、3以下の理由(名前はアイデンティティ、社会生活での姓の一貫性の必要以外の理由)の重みが増し、多様化があったと見える」だったのでは・・・。「IZUMIさんの『ニーズが多様化したから、訴訟の争点が多様化した』」という表現では言っていないような気がするのですが。もしどこかでそう言っていれば、それは私としてもちょっと違うような気がするので撤回します。変化した「必要性の多様化」は、更に言い換えれば、

「元々あった多様なニーズが表面化して、訴訟の争点の多様化と共に選択的夫婦別姓を求める多様な声の『見える化』に繋がっている。」ということですね。項目としてのニーズの種類は以前から同じようにあったけれど、それぞれの声の大きさ多さが変わってきているということです。

鶏が先か卵が先か。もっと声を上げていいよ、と#MeeTooのように別姓に関しても背中を押す声も大きくなって声を上げやすくなったからか、多様なニーズの声が増えたからか(ニーズの一部は増加しているとはっきりしているものもあり、一部は推測のみですが)あちこちからいろんな声が上がっています。

この、声の上げやすさ、いろんな状況の人たちの存在の増加、について、以下「法制審答申後24年、変わったことは・・・」に重複しますが、

・めんどいからシステムを変えろ、みたいな言い方は以前はしにくかったのではないかと・・・これは単純に思っています。今は面倒さが半端なくなっているという変化も、面倒なシステムは面倒さを減らすように変更できる物はすればいいとなってきているというのもあるかも、とふわふわした感想。

・たぶん、国際結婚の増加は著しくて身の回りに選択的夫婦別姓の国際結婚カップルがいくらでもいるようになって彼/彼女らのすでに選択的夫婦別姓である姿を身近に見るようになりました。再婚時のこどもの姓の話しはあったかもしれませんが、少なかっただろうし、離再婚への偏見もあり、以前は声さえ上げづらい状況はありました。離再婚数は増えているので、そう特別なことでなくなったと共に出しやすくなっているので、子連れ離再婚で夫婦別姓を望む人の数の変化について数の根拠はありませんが、増えているのではないかと推察します。海外で働く事も、そう特別なことではなくなっています。確認訴訟のようなケース(海外で働く日本人同士が海外で別姓結婚)も普通にあり得る事になりました。

・実家の姓を名乗りたい層、については数の増加があるかどうかは根拠はありません。が、たぶん少子化に伴ってニーズは切実になっているのでは?残したい「姓」の夫婦が夫婦のこどもでない男の子を養子縁組する形や、娘が妻氏婚といった今まで行われてきた方法が少子化の前には無効になってきている可能性はあり、選択的夫婦別姓でよりシンプルに両方の姓を繋ぐことができるので希望者数が増えているかもしれません。

そして、「声を出しやすくなっている」のもありそうです。法制審答申にいたる頃には、戦後日本国憲法制定、男女平等、女性差別撤廃条約制定批准、と民主化や女性差別撤廃の流れが強くあったなかで語られることが多かった夫婦別姓、「姓」を残すという声は出しずらかったと推測されます。「姓」を残す、ということが旧憲法と共に廃止された「家制度」と重なる部分があるので大きな声になっていなかったように思えるのです。しかし、保守右派の政権という政治状況の背景もあり、姓を残したい声を出しやすくなっているかもしれないし、夫婦別姓の必要を理解する層を拡げる効果もあるかもしれない。気をつけたいのは、政治状況はただ背景であって、夫婦の姓がどちらも続く事を希望する人は政治的信条からそう希望しているとレッテルを貼ることは、名前を変えたくないと言っている人が政治的信条からそう言っているとレッテルを貼ることと同じように無意味なことだし、実際違っている、ということだと思います。

128日の別姓 希望さんのtweet、「ついでにいえば、跡取り娘でもない私が、姉妹の会

に期待するのは『あの会なら、与野党に合理的決断を迫れるバランスを持っている』と感じたからです。議員立法を望むって、そーゆー事だろ。と。正直、当事者性を強く打ち出す方々は、訴訟頑張って。と考えています(批判ではない)」に同感です。今の4つの訴訟が全て敗訴して、まだ国会が動かなければ、姉妹の会に次の訴訟を起こしてもらいたい、訴訟が起こされたらそれを支援したいと思ったりします。

・そして、SNSがこれだけ広がって、世界中どこからでもいつでも、「私の思い」を「嫌だ」とか「辛い」とか「めんどい」とかも含めて一つ一つの声として発信し、それを受け止める場があっていろんな声が見えるようになっています。

・そして晩婚化や女性の就業率の増加は言うまでもありません。

こうした社会状況の変化で、今、多様なニーズに対応する選択的夫婦別姓への法改正の議論がこれだけ現実的になっているのだと思います。わたくしてきには24年前法制審答申時点で現実になっててもよかったと思うのですけれどね。

さいごに、これでご質問にお答えできているかどうか分かりません。まだまだ言葉不足や私の認識の間違いや、あると思います。何かありましたらまた、ご質問ください。ツッコミを入れてください。「教えてください」を、我が儘とおっしゃることは不要です(あ、すくなくともわたしにとっては)。「あなたのいうここんところが分かりません、(説明責任はあなたにあります)説明してもらえませんか。」はすごく大事なことだと思っています。

もう一つ、私は選択的夫婦別姓の法制化を求めています。

2次別姓訴訟団(私もその一部ですが)の「二次弁護団の『複数形戦法』」と思いは同じです。「二次訴訟の弁護団が狙う『今回はあえて地理的・法的争点を複数にすることで、一次訴訟とは違う流れを作る』空気」にのって、私もtweetしています。

法制審答申後24年、変わったことは・・・

Pocket


選択的夫婦別姓に関する法制審答申(1996年)が出て24年。すぐにでも民法改正があるかと思われたけれど、実現せずに2020年。この間何が変わったんだろう。

必要性の多様化だと思います。

選択的夫婦別姓を求める理由としてよく挙げられるものに、

1,名前はアイデンティティ

2,仕事、研究で名前の同一性が必要

3,家族の名前を絶やしたくない

4,再婚時にこどもの姓を変えたくない

5,婚姻前に社会的基盤ができているので、改姓によってそれらの名義等を全部変更するのがあまりにも大変

などがあります。

ものすごくざっくりした「感想」程度の表現で申し訳ないのですが、法制審答申のあった1996年頃には、男女平等の実現が選択的夫婦別姓を実現すること(つまり理由からすると1と2)の目的の柱のような感じがあったように思います。

その頃以降、働く女性の増加や女性の社会的活動の活発化、離婚の増加、婚姻年齢の上昇、少子化、などに伴って、別姓を求める声は多様化し、特に3,4,5の理由はこれらの変化によってより顕著に増えているように見え、社会システム改正の必要性を高めるものになっています。

5の理由、「改姓は諸々の手続が『めんどい』から名前をそのまま変えずにいたい」、も今や大きな理由の一つかと思います。今の「めんどい」は24年前の「めんどい」とは桁違いに手続にかかる手間暇費用増えてのめんどいです。24年前にはこれはあまり主張されていなかったのではないでしょうか。「めんどい」を避けることを「結婚にあたっての自覚が足りない」とかいう理由で同姓を強制できるでしょうか、といえるところまで来た、という感触は変化を実感する基になります。

他の理由として、

6,国際結婚と比較、海外結婚の海外登録との齟齬を回避する。

一方が日本人の国際結婚では今でも選択的夫婦別姓であって日本人同士と異なる扱いになっています。海外で結婚成立した日本人同士の別姓夫婦が日本の戸籍上夫婦と認められないのはなぜ?など国際結婚や海外で活動する人の増加によって起こる問題もあります。

そうした問題が浮上,増大,言えるようになったことが24年で起こってきている変化だと思います。

法制審答申後24年、法改正が必要な理由が変わったわけではないけれど、上記の社会的状況の著しい変化を背景として、3以下の理由の重みが増し、多様化があったと見えるのです。実際、現在係争中の「別姓訴訟」4種類、それぞれ理由が違います。

選択的夫婦別姓は社会が選択的夫婦別姓を許容するものであるかどうかという寛容性の試金石であって、これ自体は多分以前からずっと変わらないことですが、それによって男女平等を目指すという意味合いだけではなく、他の意味合いが大きくなっていると思います。

年末年始のご挨拶を、選挙区の議員さんに!

Pocket


「選択的夫婦別姓を国会で議論してください」という意見書を国会にあげてください、と地方自治体議会に働きかける活動をしている「選択的夫婦別姓 全国陳情アクション」というグループがあります。2018年の結成から全国のメンバーの活発な活動で2019年12月議会までグループの働きかけで35自治体で意見書採択(その他、グループとは関係なく意見書が通っている自治体もあります)。

この意見書を、国会の場で更に意味のあるものにしてもらうために・・・、

意見書可決の地域にお住まいの方、国会議員にお手紙書いてみられませんか。

今年各地で市議会、県議会、区議会、都議会と意見書が可決しました。あなたの選挙区でも選択的夫婦別姓を求める声が高まっています。ぜひ国会で前向きな審議をしてください、とお願いしませんか。

陳情アクションのメンバーに聞くと、対面で説明すると、党首が反対だった自民党議員でも、「困る人いるよね。」「わかるわかる。」など、理解をして賛成してくれる事も多いのだとか。選挙民からこんなことが困りますとか思いを伝えられたら、分かってくださる方もおられるのでは。

お正月休みのお暇(はないかもしれませんが(^_^;)に、お手紙・はがきなど書いてみられませんか。

意見書の通った自治体のうち別姓訴訟@広島応援団関連では、広島市、三原市があります。

あ、意見書の通ったところだけじゃなくても、お願いはできますね。たくさんの「選択的夫婦別姓への民法改正を実現させてください」の声を国会に届けていきませんか。

第2次別姓訴訟 広島地裁判決を受けて

Pocket



皆さま

いろいろなメディアでも報道されましたが、2019年11月19日広島地裁の判決言い渡しがあり、訴えは棄却されました。
14条に関しては、別氏を希望する者とそうでない者とを区別しているという訴えに対しては、別氏を希望する者にもそうでない者にも「区別することなく」同じ法律を規定するのだから、別氏を希望するという「人生に関する信念」(信条という表現を避けられた)に着目して区別しているのではない、事実婚の不利益は法律婚をしないからおこっているのであって信条(夫婦別姓を希望すること)によって起こっているのではないと否定しました。
また、職業上の必要性のためなどで通称使用をする人たちが少なからず存在し、世論調査では法改正を認める割合が増加し、家族の姓が違っても家族の一体感に影響がないと思う者の割合は増加し、各地の地方議会で選択的夫婦別姓を求める意見書が採択され、別氏を希望する女性が増加している事がうかがわれるなど、わたしたちの訴える別姓を求める声がいろいろあることを認めたものの、旧姓併記を政府が進めていることなどから旧姓使用についての世の中の理解が進んでいるから、改姓の不利益が拡大しているとまでは認められないと、憲法24上違反との主張は退けられました。
女性差別撤廃条約の規定についても条約がすぐに国内に適用可能(自動執行力を持つ)であるとは言えないのでこれを違反しているということはできないと書かれていました。
残念で、悔しいです。
事実婚の不利益を被りたくなければ法律婚をすりゃあいいと言われても、はいはいと改姓はできません。別姓を希望して結婚したい人は通称使用という別室へお回りください、といわれているのに、どちらにも入り口は用意されているのだから同じだといわれて、そうだそうだおんなじだとは、思えません。私は別室が嫌なのです。
通称は本名ではないことを、過小評価もされています。
東京本庁、立川、と棄却が続き、想定内、といえば言えるような棄却判決でしたが、この、法律が問題→法改正を訴える→国会は動かない→2011年第1次別姓訴訟提訴で司法へ→2015年違憲判決出なかった→国会は動かない→29018年第2次別姓訴訟、と選択的夫婦別姓が国会でも司法でも民法改正へ動く流れができないで謎の迷路をぐるぐる回るなか、さまざまに別姓を求める声の存在を認めながらも結論はざっくりまとめて、同姓強制状態が違憲ではない、といわれたこと、納得はできません。
この日、13時30分の広島での判決のニュースが午後4時頃の東京で都バス内のディスプレイに速報が流れたそうです。それだけ注目を受ける「事件」になっているって事かと思いました。たくさんの人たちが心に留め、口にしてくれることで、時代が動いていくと思います。RBG(米国最高裁で米史上二人目の女性判事のルース・ベーダー・ギンズバーグ判事)が何度も口にしていたように、きっと、時代が変われば法律も変わります。
東京本庁、立川、広島3カ所共に控訴します。高裁へ更にパワーアップして向かいたいと思います。通称使用では不十分である事、反証をあげていきたいとも思っています。
2018年5月の提訴より、応援ありがとうございました。残念でしたが、実は全然めげていません。高裁、そして多分最高裁へと向かいます。続けて応援お願いいたします。
取り急ぎこれまでのお礼と、ご報告まで。